ワンちゃん猫ちゃんの寿命が伸び、健康管理への意識が高まるなかで、歯磨きは主要なヘルスケアとして普及してきています。しかし、その必要性や方法についてはまだまだ認知度が低く、「歯磨きをさせてくれない」「やり方がわからない」というお悩みをもつ飼い主様が少なくありません。
本記事では、ワンちゃん猫ちゃんの歯磨きを習慣づけるための基本的知識やコツをお伝えします。
1. どうして歯磨きが必要なの?
歯周病の原因を取り除くのが目的
人間と同じように、ワンちゃん猫ちゃんにとっても歯磨きはとても大切です。その理由は、歯周病を予防するためです。ワンちゃん猫ちゃんは虫歯にはなりにくい一方で、歯周病になりやすい傾向があります。
歯周病は、歯と歯茎の間に溜まった歯垢や歯石が原因で引き起こされる病気です。犬や猫の歯垢はわずか2~3日で歯石に変わると言われており、これは人間の約5倍のスピードです。歯垢が歯石になってしまうと、通常の歯磨きでは取り除くことができません。比較的柔らかい歯垢のうちに、ご自宅でケアを行う必要があるのです。
歯周病について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
歯磨きは嫌いで当たり前!
しかし、ほとんどのワンちゃん猫ちゃんは歯磨きが嫌いです。いきなり口元を触られたり、指や歯ブラシを口の中に入れられたりすれば、人間でも不快に感じるはず。まずは歯磨きに慣れてもらうところから始めましょう。
2. 歯磨きのスムーズな始め方
幼少期から始めるのがベスト
歯磨きを習慣づけるためには、子犬・子猫のうちから始めることが理想的です。幼い頃から慣らしていくことで、口に触れられることへの抵抗感が生まれず、歯磨きを嫌がらなくなります。
もちろん、大人になってからでも遅くはありません。根気よくトレーニングを続けることで、少しずつ歯磨きへの嫌悪感をなくしていきましょう。
まずは触るところから
まずは、口周りに触る練習から始めます。よく褒めてあげたり、おやつなどのご褒美を使って、ワンちゃん猫ちゃんに楽しい経験であると覚えてもらえると、より効果的です。
口の周りに触れることに慣れたら、次は口を開けて、歯や歯茎に触れるようにします。手前の歯から奥歯へと、段階的に進めます。指にガーゼを巻いて触ったり、歯ブラシでタッチしたり、指以外のものに慣れてもらうことも大切です。
正しい道具を選ぶ
歯磨きには、ワンちゃん猫ちゃん専用の歯ブラシを使用することが推奨されます。人間用の歯ブラシではサイズが大きく、子供用のものでも硬さが適していません。犬猫用の、小さくて柔らかいブラシを用意してください。
さらに、歯磨きペーストを使用することで、歯磨きの効果を高めることができます。この時も、人間用の商品の使用は控えてください。多くの人間用歯磨き粉に含まれるキシリトールは、犬にとって中毒を引き起こす有害な成分です。
3. これでばっちり!歯磨きのコツ
歯ブラシを使った磨き方
ではいよいよ、歯磨きを行っていきましょう。
歯ブラシに適量の歯磨きペーストをつけ、ゆっくり口に入れます。
まずは、唇をめくるだけで済む上の歯の表面から始めましょう。前歯、奥歯、下の歯、歯の裏側と、徐々に難易度が上がっていくので、ワンちゃん猫ちゃんの様子を見ながら進めてください。嫌がるようであれば、初めのうちは裏側まで磨く必要はありません。
歯ブラシは歯に対し45度の角度であて、一本ずつ磨きます。歯と歯茎の間は歯垢が溜まりやすいため、中の汚れをしっかりとかき出すイメージで。
犬では、犬歯と上の奥歯を重点的に磨いてあげましょう。特に歯垢・歯石が蓄積しやすく、歯周病の好発部位と言われています。
毎日続けるために
ワンちゃん猫ちゃんの歯磨きの頻度も、人間と同じように毎日であることが理想です。しかし、一度に全ての歯を磨こうとする必要はありません。無理に一気に行おうとすると負担だけが大きくなり、どんどん歯磨きが嫌いになってしまいます。前側、左側、右側と、日にちを分けて磨くなど、ワンちゃん猫ちゃんはもちろん、飼い主もストレスなく行うための工夫が大切です。
次回の歯磨きが楽しみになるように、終わった後はご褒美をあげて、たくさん褒めてあげましょう。
4. どうしても歯磨きが苦手な子は
歯ブラシが苦手なら歯磨きシートを
歯ブラシで磨かせてくれない場合は、歯磨きシートを使う方法も試してみると良いでしょう。
専用のシートを指に巻きつけて、歯や歯茎を優しく拭います。違和感を感じにくくするために、シートは指にしっかり密着するように巻いてください。
巻く手間のない指サックタイプや、ワンちゃん猫ちゃんが好む香りの商品も販売されています。
おもちゃやおやつを使う
どうしても歯磨きをさせてくれないワンちゃん猫ちゃんには、歯磨き以外のデンタルケアを検討することも必要です。
例えば、歯磨き効果のあるおもちゃ(デンタルトイ)を与える方法があります。噛むことで歯垢を取り除く効果があり、遊びながらケアを行えることが大きなメリットです。なかでもワンちゃんが大好きなロープのおもちゃは、しっかりと歯が食い込むため、実は非常に高い歯磨き効果をもっています。
また、歯磨き効果のあるおやつも有効です。ただし、よく噛まずに飲み込むと効果が半減してしまうため、ゆっくり食べてくれるように手で持ったまま与えるなど、飼い主がサポートする必要があります。
デンタルケア用ジェルを使う
最後に、デンタルケア用のジェルを使用する方法をご紹介します。
歯や歯茎に塗ったり、ワンちゃん猫ちゃんが舐めたりするだけで効果を発揮するジェルタイプの商品も、昨今では多く開発されています。
当院では、ERDジェルを取り扱っております。
歯周病の原因菌であるグラエ菌の増殖を抑制。
舐めるだけでも効果があり、お腹の中に入ってしまったグラエ菌にも作用します。
通常価格¥3,000(税抜)のところ、令和6年6月1日〜8月31日の「デンタル応援キャンペーン」期間中は、500円OFFでご購入いただけます。
ぜひこの機会にお試し下さい。
定期的な歯科検診も忘れずに
ご家庭での日常的なケアに加えて、定期的に動物病院での歯科検診を受けることも非常に重要です。
実は、3歳以上の犬・猫の8割が歯周病を患っていると言われています。歯磨きの習慣がなかったワンちゃん猫ちゃんは、一度獣医師のチェックを受け、歯石が溜まっている場合はスケーリング(歯石取り)を行うことも検討しましょう。
スケーリングについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
ワンちゃん猫ちゃんの幸せな毎日のために、お口の健康はとても大切です。歯磨きをはじめとしたご家庭でのデンタルケアを、ぜひ実践してみてください。
愛犬・愛猫の歯や口のことでお悩みやご不安がございましたら、クロス動物医療センター勝どきまでお気軽にご相談ください。