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愛犬・愛猫の口が臭い、歯が汚れていると感じたことはありませんか?それは歯周病のサインかもしれません。実は、ワンちゃん猫ちゃんの約8割が、歯周病を患っていると言われています。
放っておくと、大切なペットの健康に大きな影響を及ぼすことになる歯周病。原因や対策を知り、しっかり予防しましょう。

1. 歯周病の正体を知ろう

どうして歯周病になるの?

歯周病は、歯の周りの組織に細菌が感染することで引き起こされる、炎症性の疾患です。
主な原因は歯垢と歯石の蓄積です。歯垢は食べ物の残りカスや細菌が混ざり合ってできる粘着性のある物質で、歯垢が放置されると硬化して歯石になります。歯石は非常に硬く、通常の歯磨きでは除去できません。歯石が歯と歯茎の間に蓄積すると、歯周ポケットが形成され、細菌の温床となります。細菌が歯周ポケットで繁殖すると、歯茎の炎症を引き起こし、これが歯周病の初期段階です。

毎日のごはんが原因に

歯周病の進行には、食生活が大きく影響します。柔らかい食べ物ばかりでは歯垢が溜まりやすく、歯茎の血行も促進されません。適切な食事とおやつを取り入れることで、歯や歯茎の健康を保つ手助けになります。具体的な予防策については、後ほど詳しく説明します。

遺伝的にかかりやすいことも

一部の犬種や猫種では、遺伝的に歯周病になりやすい傾向が見られます。小型犬や短頭種の猫は、特に歯周病にかかりやすいとされています。遺伝的な要因は避けられないものですが、日頃のケアで進行を防ぐことは十分に可能です。

2. 見逃さないで!歯周病の進行度別症状チェック

些細な変化でも、「犬にはよくあること」「猫だから仕方ない」と見過ごしてしまうのは危険です。ここでは、歯周病が引き起こす症状を、進行度別に見ていきましょう。

 

初期症状

口臭
歯周病の初期症状として、最も一般的なのが口臭です。犬や猫の口が臭いと感じる場合、口腔内の汚れや歯石の蓄積が原因となっている可能性があります。歯石が溜まるとそこに細菌が繁殖し、口臭は強くなります。

歯茎の腫れと出血
歯周病が進行すると、歯石や細菌が歯茎の下に入り込み、炎症を引き起こします。その結果、歯茎が腫れて赤くなり、触ると痛がったり出血したりすることがあります。

中期症状

歯のぐらつきと脱落
さらに歯周病が悪化すると、歯がぐらつき始め、最終的には抜けてしまうことがあります。これは、歯茎の組織が破壊され、歯を支える骨が失われるためです。

食欲不振
歯や歯茎に痛みが生じると、犬や猫は食欲がなくなることがあります。食べることが苦痛になるため、食事の量が減り、体重が減少します。この症状は特に、原因が歯の痛みであることに飼い主様が気が付きにくいため、注意が必要です。食欲不振は全身の健康にも影響を及ぼすため、早期の歯周病治療が必要です。

重症化した症状

根尖膿瘍と口鼻瘻
重度の歯周病では、歯の根本に膿が溜まり、痛みや腫れを引き起こすことがあります(根尖膿瘍・こんせんのうよう)。進行すると破裂して、膿や血が顔の表面に出てきます。目の下(上顎第四前臼歯の根本)でよく発生します。
また、感染が原因で口腔と鼻腔を隔てる骨が破損し、繋がってしまうこともあります(口鼻瘻・こうびろう)。食べ物や唾液が鼻に入りやすくなり、くしゃみが続く、鼻水が出るなどの症状が起こります。口鼻瘻は慢性的に感染を引き起こしやすく、治療が難しい場合があります。

内臓疾患と呼吸器疾患
歯周病を放置すると、歯周病菌が血流に乗って全身に広がり、心臓や腎臓、肝臓などで疾患を引き起こすことがあります。また、細菌が肺に到達すると、肺炎などの呼吸器感染症を引き起こすリスクもあります。歯周病を早期に発見し治療することはとても大切です。

3. 適切な治療で歯周病を克服

治療の基本は歯石除去

では、愛犬・愛猫が歯周病にかかっていたら、どのような治療を行うのでしょうか。
歯周病の治療の基本は、歯石の除去です。獣医師が専用の器具を使って歯石を取り除き(スケーリング)、歯の表面を研磨し滑らかにする処置を行います(ポリッシング)。ポリッシングにより、歯石が再び付着しにくくなります。定期的にスケーリングを受けることで、歯周病の進行を防ぐことができます。

感染には抗生物質を

歯周病が進行して細菌感染が見られる場合、抗生物質の投与が必要です。抗生物質には、細菌を死滅させたり、増殖を抑制する作用があります。菌を減らすことで、結果的に炎症が軽減されます。獣医師の指示に従って適切に投与しましょう。

手術が必要な場合も

重度の歯周病では、口腔手術が必要になることがあります。全身麻酔下で、感染した歯や歯茎の組織を取り除きます。

 

どの治療も、一度受ければ今後歯周病の心配がなくなる、というものではありません。適切なケアを行い、再発を防ぐことが重要です。

4. 日々のケアが鍵!歯周病予防のポイント

歯磨きを習慣化する

ここまでお読みいただき、歯周病に対する危機感を強く抱かれた飼い主様もいらっしゃるでしょう。一方で、正しい知識さえあれば、歯周病の予防はそれほど難しいことではありません。
最も大切なのは、日常的な歯磨きです。専用の歯ブラシとペーストを使用し、毎日行うのが理想です。しかし、ワンちゃん猫ちゃんは人間と違って、口を触られることが苦手な子がほとんど。子犬・子猫のうちから歯磨きに慣れさせておくことで、ストレスなく続けられるでしょう。

ごはんやおやつを工夫する

歯周病を予防するためには、適切な食事とおやつを選ぶことも大切です。冒頭でも書きましたが、柔らかい食べ物ばかり与えるのはあまりお勧めできません。
毎日のご飯では、ドライフードを選ぶことで噛む際に歯に物理的な摩擦が加わり、歯垢の蓄積を防いでくれます。もちろん、ウェットフードには栄養や水分が多く含まれており、歯がない・歯が痛い子でも柔らかくて食べやすいというメリットがあります。適宜選択するようにしてください。
デンタルケア用のおやつも多く販売されています。すぐに飲み込んでしまうと効果がないので、ゆっくり噛んでくれるように工夫してあげましょう。

定期的な歯科検診

定期的に獣医師による歯科検診を受けることで、歯周病の早期発見と予防が可能です。少なくとも年に一度は検診を受け、必要に応じてスケーリング・ポリッシングを行いましょう。

 

 

愛犬・愛猫の健康を守るためには、日々のケア、そして、些細な異変に気が付くことが、とても大切です。皆様がより快適に、より長く、一緒に過ごしていけるよう、私たちも全力でお手伝いします。
愛犬・愛猫の歯や口のことでお悩みやご不安がございましたら、クロス動物医療センター勝どきまでお気軽にご相談ください。